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M&A手法の基本知識

事業継承のためのM&A手法 ⑤ 現物出資

事業継承のためのM&A手法 ⑤ 現物出資

いくつかのM&Aによる事業継承の手法を見てきましたが、今回ご紹介する現物出資はかなり稀な仕組みを活用しています。会社の債務を株式化する方法などを活用して、資産管理を進めつつM&Aを行うことができるため、大きな可能性を持っている仕組みといえるでしょう。しかし、そのための手続きなどもかなり煩雑であるため、十分に理解していることが必要になってくる高度な仕組みでもあります。

現物出資とは

現物出資とは、金銭以外の財産を活用して行われる出資の仕組みです。

不動産や債券、特許やノウハウといったものが挙げられ、事業を進めていくにあたって必要となってくるものや継続的に活用することを目的としているものすべてが、現物出資の対象としてみることができます。

現物出資では、増資を引き受ける哀歌としてここの資産等を給付する行為であるため、個々の権利や義務については、選択的に継承されます。

つまり、負債や担保についての継承は義務ではないものの、継承自体が否定されているわけではありません。

出資財産については原則として検査役による調査が必要となってきますが、500万円以下でありかつ市場価格が客観的に明らかである場合は省略することも可能です。

省略方法については手順として込み合ってきますので、弁護士や税理士などの専門家の意見を必ず参照してください。

現物出資とDES

現物出資という話をする際に必ず出てくるのが、DES(デット・エクイティ・スワップ:Debt Equity Swap)でしょう。

こちらについても詳しく見ていきます。

会社債務を株式化する方法であり、会社が負っている債務に対して、債権者がその債権を現物出資してしまおうという考え方です。

債務超過解消方法として認識されています。

DESは財務健全化のM&A手法の一つであり、債権者からすると債権を株式化する、債務者からすると債務の資本化となります。

一般的に債務超過である会社の債権を放棄してしまうと債務も消滅してしまうため、仮に会社が業績を回復できたとしても、その債権を回収することはできません。

しかし、DESによる現物出資を利用することで、株式を保有し続けることができるため、その後の配当も引き続き受けることができるようになります。

中小企業においては、社長等の役員からの借り入れや不動産の贈与などについて、DESによる現物出資を活用して資本金を増やしていくなどの方法もあり得るのです。

現物出資を活用した事業継承をする際の現経営者側のメリットとデメリット

この方法で事業継承をする際の最大のメリットは、株式の現金化が可能であるということです。

とりわけ、債務超過に陥っている会社であっても、そのノウハウなどをうまく資産化することによって、引退資金として活用することができるのではないでしょうか。

ただし、この方法で事業継承する場合、器自体は残ってしまうため、その後どうするかを考える必要が出てきます。

また、個人補償や担保といった問題にも着手する必要があるでしょう。

そうしたスケジュールなどをうまく引ける場合にはいい方法かもしれません。

器が残るということなので、もし子供や孫がいる場合、家族資産管理会社として存続させていける可能性も残っています。

詳しくは、税理士などの専門家に相談してみてください。

現物出資を活用した事業継承をする際の買い手側のメリットとデメリット

現物出資による事業継承において買い手側の最大のメリットは、相手の会社の器が残るという点です。

すなわち、何をどのように継承しどこまでを買い取るのかかなり自由に決めることができるということになります。

加えて、ノウハウや事業に必要なものを保有することになるため、大幅な組織再編といった人的コストのかかることは発生しません。

一方で、現物出資は財務上、様々な制約がつきものです。

特に、相手側の資産価値を明確にするための様々な監査は、多くの場合大きなコストがかかるでしょう。

加えてある程度の金銭を用意しなければならないという問題があります

すべてを金銭で支払う必要はないような契約は作れますが、全く金銭を支払うことがないということはあり得ません。

余裕のあるスケジュール管理が必須になります。

現物出資による事業継承

本来的に現物出資は、今ある会社の資産を使って、金銭や見返りを得るための手段です。

今ある会社の資産を現金化する必要がないという点が大きな特徴となります。

そのため、この手段は事業継承としては一般的でないかもしれません。

あるいは会社の器が残るという点をとっても、果たして厳密的な意味での事業継承とは呼べないかもしれません。

しかし、こうした手段について様々に検討できる状況を作っておくことが、失敗しない事業継承には力になるのです。