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M&A手法の基本知識

事業継承のためのM&A手法 ③ 事業譲渡

事業継承のためのM&A手法 ③ 事業譲渡

事業譲渡方式は、事業継承ではあまり一般的とは言えないでしょう。しかし、使い方によっては現経営者・創業者にとって非常にメリットの大きい事業継承スタイルです。M&Aを行う方の視点からすると、会社そのものを継承するにはリスクが大きい場合や、特定の分野のみの買収を行いたい場合などに用いられることがあるスタイルでもあります。そんな使い方の限られる事業譲渡について詳しく見ていきます。

事業譲渡方式の概要

事業譲渡方式での事業継承は、飲食業やサービス業などで用いられることが多い手法です。

特に、地元以外に2号店3号店と手広く行ったのち、いくつかの不採算店舗は閉店し、その他のある程度利益の上がっている店舗はどこかに買ってもらうなどのやり方で採用されます。

事業譲渡は株主総会による特別決議が不可欠です。

しかし、創業者や現経営者しか株主がいない場合は、通常の売買の感覚で行われることもあるでしょう。

従業員の雇用の継続などの正規の手続きが必要な場合は煩雑な手続きが求められることがあります。

M&Aアドバイザーや弁護士、税理士など、M&Aや事業継承に強い専門家の相談は欠かせないものになるでしょう。

事業譲渡方式における現経営者のメリットとデメリット

事業譲渡方式での現経営者のメリットとデメリットは、特に事業継承という側面から見てみると、株式譲渡や合併というものとは少し異なってきます。

事業譲渡方式は、イメージとしては自分の会社の優良部分、すなわち他社が高く評価し買い取ってくれる部分だけを切り取って金銭などにし、あまった不良部分や不採算部分、いうならば負債と呼ばれる部分を整理するということになるでしょう。

つまり、株式譲渡である場合は、会社全体を買い取ってくれるのに対して事業譲渡の場合は、買い取ってくれる部分とくれない部分があるということです。

加えて、会社が残るので、会社自体にある負債やあるいは個人補償をしている負の財産なども当然残ってしまいます。

しかし、買い取ってくれる部分で大きく金銭的補償を得ていれば、負の遺産をしっかりと返済し終わるなどは十分に可能です。

ここでは中長期的な計画が必要になってくるでしょう。

また、優良な部分を切り取って売るということに、ほかの株主や従業員も理解を示してくれている場合、買い手が見つかりやすいというスケジュール的なメリットもあります。

採算部門と不採算部門が明らかに分かれているような企業にとっては、事業譲渡という仕組みを活用した事業継承は十分にメリットがあるやり方といえるでしょう。

事業譲渡方式における買い取り先企業のメリットとデメリット

買取先にとって、この方式の何よりのメリットは、自分で必要とする部門や領域を契約書に基づいて自由に決めることができるということです。

また、相手側の負債を肩代わりする必要もないでしょう。

株式譲渡方式などを採用した際の思わぬ負債や義務などの大きな負担を引き受けることがないのも、計画をスムーズに進行できるものでもあります。

ただし、事前の視察やデューデリジェンスに大きな労力を割くことからは逃げられません。

それでも、自分でリスク管理ができるという事業譲渡方式は買取先にとっては極めてメリットの大きなものといえるでしょう。

ただし、事業譲渡方式は、資産や人材を買い取るという手段であり、相手先の企業そのものを吸収することではありません。

そのため、企業が所有している免許や業許可などはこの方式では移転できないのです。

もし、このM&Aをさきがけに新しい分野に挑戦しようとする場合は思わぬブレーキになりかねません。

事業譲渡方式はお互いの見通しの冷静さが大事

事業譲渡はお互いにメリットの大きな仕組みですが、同時に性格に未来を予測できないと大きな落とし穴がある仕組みです。

特に、現経営者や創業者にとっては、株式譲渡方式とは異なり、会社が残ってしまうことに留意しなければなりません

つまり、現在ある負債や個人補償、担保といった負の財産は残ってしまうのです。

多くの場合は、事業譲渡による収益を充てることで返済可能だとは思いますが、引退後のゆとりある生活などを考えてみると、こうした見通しをしっかり立てておくことが、失敗しない事業継承には重要なのではないでしょうか。

ぜひ、M&Aアドバイザーや税理士などのお金に強い専門家の意見を参考にしながら、事業継承を進めていきましょう。