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M&A手法の基本知識

事業継承のためのM&A手法 ④ 株式交換

事業継承のためのM&A手法 ④ 株式交換

株式交換によるM&Aは平成11年の旧商法改正時に導入された制度です。M&Aの手法としては広く定着しました。一般的に企業は流動資産としての多額の現金をストックしていることは珍しく、M&Aをするための買収資金を調達しなければなりません。そのため、時には契約はしたのだけども、資金調達がうまくいかなくて、半年ほどスケジュールが動いていないなどの案件も出てきます。このような状態を解決するために、現経営者や創業者、あるいは売り手企業の株主の持つ株を、買い手企業の株を発行する形で買い上げるという仕組みが株式交換です。この手法は、一定の手続きを経ることで、売り手企業の株主から株式を強制的に買い上げることができる手法としても知られており、交渉がうまくいかなくても最終的にM&Aを起こすことができる手法でもあります。

株式交換の概要

株式交換という名前を見る限り、お互いの株式しか活用できないように見えるかもしれませんが、実際は社債や新株予約権、現金などでのやり取りも認められています。

売り手企業が買い手企業を100%子会社とする際に、強制力を発生させることができる手法として、広く活用されている手法です。

100%子会社にする場合は、会社法に定める組織再変更に該当するため、株主総会の特別決議が必要です。

また、それぞれの株主に株式の買取請求が認められています。

両社の株主総会の決議が必要ということで、敵対的買収にはなりにくく、両社にとってメリットのある取引として採用されることが多いでしょう。

株式交換の現経営者のメリットとデメリット

一般的に事業継承を行いたい現経営者や創業者にとって、引退後の資金を確保という視点からすると、株式交換は直接的な現金が手に入らないため、あまりメリットがないように見えるかもしれません。

しかし、例えば、買い手の企業が成長著しい会社であったり、あるいは上場企業などであった場合、交換した株式にさらなる高値が付くことが予想できるのではないでしょうか。

さらに、持ち分比率によってはある程度の発言権を得ることも可能です。

一般的にM&Aなどをした企業は、その後期待感もあって、株が買われる傾向にあります。

現金は手元に残らなかったけども、予想以上に資産は残ったということが往々にしてあるのがこの手法なのです。

ただし、買い手企業が非上場で、株式に流動性がない場合、換金できる可能性は非常に低いため注意したほうがいいでしょう。

ほかにも会社法に準じた手続きが発生する煩雑な手法でもあります。

そもそも、株式交換という仕組みは、会社をより買収しやすくするという、買い手側のメリットを重視した方式なのです。

株式交換の相手先企業のメリットとデメリット

株式交換の仕組みで事業継承する場合は、相手先、すなわち買い手企業にとってはメリットの大きな方式です。

最大のメリットといえるのは、やはり、M&Aの際に本来必要となる莫大な現金を用意する必要がないということでしょう。

固定資産を流動資産にするのは多くの手間と時間がかかりがちです。

また、売り手企業に対しては発行済み自社株である必要はなく、社債を活用したり、新株を発行したりすることも認められているので、時価総額の大きな企業であれば、自社の持ち株比率にもさほど影響を与えません。

また、全株式を買い取る形での100%子会社化も可能なので、中途半端な持ち株比率分を買い取ってしまい、破綻してしまったといった失敗に巻き込まれる心配もないでしょう。

双方の株主総会の決議さえあれば、失敗することなく買収を進めることが可能です。

デメリットとしては、手続きが煩雑になりがちなことと、相手側の株主総会の決定を待たなければならず、時間がかかりがちであることでしょう。

速やかなM&Aを実施したい場合は、あまり採用されません。

しかし、株式交換を活用することによるメリットは大きく、時間がかかってもこの方式でと考える企業は多いようです。

事業継承と株式交換

この株式交換という仕組みは、いうならば引退にまつわる退職金を、相手先企業の株式として取得することになります。

現経営者や創業者にとって、相手先企業の時価総額などを鑑みての決定になることでしょう。

ただ、このM&Aを経てその企業の成長性が増す可能性は十分にあります。

相手企業の株式の性格を見極めつつ、失敗しない事業継承を進めていってください。