ホームへ戻る

カテゴリー

新着記事

ここ1ヶ月間の人気の記事

M&A手法の基本知識

M&Aと税金対策① 基礎編

M&Aと税金対策① 基礎編

M&Aにおいては、その手法によって課税対象や金額に差が出てきます。というのも、株式譲渡は会社の売却、事業譲渡は事業の売却と、それぞれ意味合いが少しずつ異なってくるためです。また、法人の課税関係には必ず適格組織再編に該当するかどうか確認することが重要でしょう。まずはそれぞれについて簡単に概要を見ながら、税金についてのイメージを固めることが先決です。

M&Aにおける税金:株式譲渡の場合

株式譲渡においては、会社を売却するということになるため、利益は主に株主に渡されます。

そのため、課税対象も当然株主ということになるでしょう。

この売却によって得た利益は「譲渡所得」といわれ所得税が課せられます。

確定申告が必要な項目ですね。

譲渡所得の特徴は金額の大小にかかわらず税金の税率が約20%と一定であるということです。

もしかしたら、最も有効な節税対策かもしれません。

利益は株主へということなので、基本的に企業が利益を得るのではなく個人が利益を得る形になります。

ただし、株式譲渡は会社の売却です。

そのため、一部事業を手元に残すなどの分割は基本的にはできません。

完全に事業を手放すという形となるでしょう。

M&Aにおける税金:事業譲渡の場合

事業譲渡は事業の売却なので、売却益は法人の利益となります。

そのため、個人の株主が課税対象となるのではなく、企業が課税対象です。

項目は法人税ということですね。

法人税ということなので、売却益が30%と株式譲渡を選択した場合よりも大きくなり、課税対象が個人から法人に移るということになります。

一方で、売却益は法人の損益と通算できるため、もし法人が赤字を出しているのであればそれを帳消しにすることもできるでしょう。

また、事業譲渡は、事業の一部を切り離して売却するため、事業の一部は手元に残ります。

家族の資産管理会社として利用したり、新しい事業を始める際の器として利用することも可能です。

違いについてより明確に

株式譲渡と事業譲渡では、文字だけ見ると同じように見えますが、税金という視点からだと大きな違いがありました。

まず、課税対象は株式譲渡では株主個人に、事業譲渡では企業そのものにかかります。

株式譲渡は譲渡所得という形で税率は20%、事業譲渡では法人益という形で税率は30%です。

その他細かい点にも違いが出てきます。

以下の表を確認してください。

項目 株式譲渡 事業譲渡
意味 会社の売却 事業の売却
課税対象 株主 企業
項目 譲渡所得 法人益
税率 20% 30%
消費税課税
節税対策 法人の損益と通算可能
企業の存続 不可 一部存続が可能

この他にも細かいところでは、事業譲渡では不動産が含まれている場合、買い手側の名義変更が必要になってきます。

また、事業譲渡で個人株主へ対価を還元する場合、特別な要件を満たさない限りは所得税がさらに上乗せされます。

法人の利益を個人に還元すると税金がかかるのが一般的です。M&Aの交渉を行っていくと、最初は事業譲渡を前提に話し合っていたが、途中で株式譲渡へ変更になったなどという話があります。

この場合、税金においてはかなりの違いが出てくるため、必ずファイナンシャル・スケジュールの見直しが必要になるでしょう。

少なくとも税率だけで10%も異なってきます。

M&Aで動くお金は非常に高額になりますので、この10%の違いは全体のスケジュールからも無視できない大きさとなるのです。

M&A実行後の対策により手元に残る資金の量は違ってくる

お金を他者とやり取りすると必ず税金がかかわってくる

事業を行っている人にとっては当たり前すぎることではないでしょうか。

M&Aにおける税金について簡単に見てきました。

M&A実行後の税金対策は非常に重要です。

特にリタイアを考えている経営者にとっては、その後の人生を豊かなものにできるかどうかといえるでしょう。

ぜひ、こうした税金に対する対策をしっかり行うことで、ゆとりあるリタイアと失敗しないM&Aを目指していきましょう。