ホームへ戻る

カテゴリー

新着記事

ここ1ヶ月間の人気の記事

業種別にM&Aの事例を確認!

事例集 機械製造業

事例集 機械製造業

M&A事例集。今回は機械製造業についてみていきましょう。機械製造業というのは産業用ロボットなどを作っていく業界。一時期、日本の花形業界として人気がありましたが、現在はどうなっているのでしょうか。

機械製造業の動向や特徴

機械製造業は一時期日本の花形業界でした。

参入者や技術者も非常に多く、その力は現在でも一級品といえるでしょう。

しかし、そうした長く続く業界としてはやはり、後継者に問題があるというのが常識となっています。

機械製造業も多くの人材が技術者に偏っており、経営に向いている人材というのは非常に少ないというのがよくあることです。

また、こうした技術業界においては、取引先の数や安定感、コア技術の高さや技術者の年齢構成なども影響を与えてきます。

ほかにも、現在経営の中枢を担っている人が非常に高齢であったり、あるいは創業者一族として会社を運営している関係で、なかなか事業を手放すという決断が難しかったりといった状況に四苦八苦している企業もあるでしょう。

今回ご紹介する事例もまさにその環境をそのままに、決断力や交渉力、あるいはM&Aの手法という点で注目すべき点が多い事例です。

異業種の方にも参考となるのは間違いないでしょう。

機械製造業におけるM&A事例:背景

今回の事例の主人公は、現在の経営者ではなく創業者として、現在でも一定の影響力を持つ会長です。

会長自身、自分が高齢であり年寄りが長く組織に居座り若い人たちの活躍の芽を摘むことは良くないことだと常日頃から気を付けていました。

しかし、幾度となく訪れた経営危機に対して柔軟に乗り切ってきたのは会長の力であることを、内外の人間が何よりも理解していたため、現在の社長よりも会長を頼ってくる人も多かったのです。

5年以上現場から会長は離れていましたが、経営の引き継ぎはうまく進まないまま、結局再度財務状況が悪化してしまいました。

こうした状況から、再び経営の現場に姿を見せた会長でしたが、現経営陣と心理的な溝が生じてしまい、会社の意思決定がうまくいかない状況が続きます。

また、外部から現経営陣へのサポート役のような人材を招聘したこともありますが、この試みもうまくいきませんでした。

こうした状況から、当初会長は会社をつぶすことも視野に入れていましたが、従業員や取引先との関係からM&Aによる事業継承を決断したのです。

機械製造業におけるM&A事例:進め方やポイント

この会社は、創業30年以上という歴史があるため、地場では有名な会社であり、M&Aを行おうとしているといううわさが流れるのは非常に問題がありました。

そのため、進め方には細心の注意が必要で、候補先も最初からかなり絞って交渉を進めることになったのです。

こうした状況では、候補先が現れるのに時間がかかります。

こうして現れた候補先は全国に販路を持つ総合商社でした。

当初、会長も現経営陣も異業種ということで抵抗がありましたが、実際面談してみると会長と総合商社の経営陣とは考え方が非常に似ていたためすぐに意気投合

M&A・事業継承の交渉もとんとん拍子で進んでいくことに。

特に、総合商社ということもあり、今までになかったアイディアや人材などが豊富にあったため、今後の会社の経営がかなり豊かに考えられるという点が会長の興味を引いたようです。

一方で、技術や知名度、取引先の状況などを最大限に評価してくれたため、現経営陣も前向きに交渉を進めていました。

機械製造業におけるM&A事例:効果

このM&Aを進めるにあたって会長はかなり無理をしていました。

経営状況を鑑みて、M&Aを断るはずはないと現経営陣を評価していたのです。

そのため、十分な根回しや情報共有のないまま、株式の譲渡承認決議に関する役員会において、いきなりM&Aの話をしだしてしまいました。

あまりの交渉の進み具合に現経営陣は猛反発。

結果的に譲渡承認が否認され、当初株式譲渡でM&Aを行おうとしていましたが、この計画は頓挫。

結果として、MBOが行われ、会長を含めた創業者の株式はすべて現経営陣によって買い取られます。

会社の存続やM&Aによる事業継承は行われましたが、会長の行動はケチをつけた形となってしまったのです。

まとめ

会長の決断と、根回しや情報共有がキーワードとなってくる事例だったのではないでしょうか。

どのような状況・環境であれ、人には感情というものがあります。

この感情を無視して状況をまとめ上げてしまうことは、力のある人にとってはいいことのように見えますが、対応する人たちにとっては難しい感情をもたらすことになるでしょう。

単なるお金の問題ではない、様々な感情が混ざり合う事例として、ぜひ活用していってください。

こちらの記事もよく読まれています。