ホームへ戻る

カテゴリー

新着記事

ここ1ヶ月間の人気の記事

M&A手法の基本知識

事業継承のためのM&A手法 ② 合併

事業継承のためのM&A手法 ② 合併

事業継承のM&A、続いては合併によるM&Aについてみていきましょう。とはいえ、実は事業継承としてのM&Aを行う場合は、合併、とりわけ日本でよく耳にする吸収合併という仕組みはあまり採用されません。理由としてはメリット・デメリットが別項で説明している株式譲渡と変わらないにもかかわらず、法的要件が厳しく手続きがとても煩雑となりがちだからです。もともと、合併とは、2つの経営層が一緒になってシナジーを生み出せるのではないかと考えて作られた仕組み。創業者や現経営者が引退することを前提とする事業継承のM&Aではあまり使われないのも無理はありません。それでも、合併は「Merger」であり、M&Aでは非常に一般的なもの。絶対に使われないわけでもないので、知識として知っておくことは有効でしょう。

事業継承のM&Aとしての合併の概要

吸収合併を選択すると、文字通り、両社が一体となります。

そのため、買われる側の企業、すなわち継承を望んでいる企業そのものが法人格を失い消滅することになるのです。

そのため、お互いの企業の主業がかなり似通っており、スケール自体がメリットとなりうる業態や業種では選択しやすいといえるのではないでしょうか。

例えば、資本金の大きさがそのまま信頼に結び付く金融関係の仕事や、受注許容能力が取引先との力関係に影響しがちな建設業・運送業などがこれに当たるでしょう。

このような明確な理由を持って行われる吸収合併は非常にメリットの大きな方式です。

一方で、吸収合併は、吸収されるほうもするほうも、ひとしく会社の在り方に大きな変化をもたらします。

その結果としてそれぞれの会社の債権者や株主との折衝に莫大な人的コストがかかる場合が多いでしょう。

最悪、裁判所に判断をゆだねることになる場合も少なくありません。

会社の再編を確実にもたらす吸収合併は、むやみやたらと選択できる手法ではないようです。

合併によるM&Aでの事業継承による現経営者側のメリットとデメリット

本来の吸収合併は、それぞれの会社の経営者がともに一つの会社を運営していくことを前提としていますが、事業継承のM&Aにおいては、現経営者は相手先の企業を運営していくことはしないでしょう。

そのため、スムーズに合併交渉が進みさえすれば、株式譲渡方式によるM&Aとメリットはほとんど変わりません。

会社が一つになるメリットについては、先述しましたが、現経営者としては合併でも株の売却益などを十分に得られる金銭的なメリットの大きな事業継承といえるでしょう。

また、経営者引退後の従業員や会社組織についても同じ人事や就業規則の下で働けるため、安心して任せられるというメリットもあります。

一方で、合併、特に吸収合併については経営者同士の合意だけでは簡単に決めることはできず、お互いの株主の合意などが重要になってきます。

合併に反対する株主がいれば、会社はその株式を買い取る必要があり、買取価格に合意できない場合は、裁判所の判断が必要になるなど、ビジネスとは関係ない折衝が発生する可能性がある方式です。

合併によるM&Aでの事業継承による相手側のメリットとデメリット

合併という方式を採用することの最大のメリットは、事業規模の拡大やシェアの拡大などの影響力を高め、事業をより強力に推し進めていくことでしょう。

しかも、合併という仕組みは、内部や現取引先にあまりしこりを残しません。

加えて、M&Aされた側の取引先についても、特に担当者が変わったりするわけでもなく大きな混乱は少ないといえるでしょう。

さらに、会社が合併することで、間接部門や本社機能を統合し社内リソースを事業につぎ込むことも可能です。

一方デメリットとしては、やはり事業再編に伴う配慮という問題があります。

もともと違う組織・企業文化でやってきた人たちを同じ組織内で一つのことをさせるというのは、思った以上に軋轢や混乱を招くことになるでしょう。

また人事考課や休暇なども会社で異なっている可能性が高いため、マネージャークラスの才覚や器が問われることになるかもしれません。

合併がもたらす混乱をこえて

合併による事業継承は少し負担が大きいなと思った方も多いのではないでしょうか。

実際、最初は合併で議論をしつつ、途中でやり方を変更するなどということも事業継承ではよくあることだといいます。

しかし、合併という形で事業を大きくすることは、その後の影響力やシナジーなどを考えていくと、メリットが大きいのも間違いありません。

失敗しない事業継承とは言いますが、実りある事業継承も同時に目指していくことも求められるのです。

こちらの記事もよく読まれています。