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M&A手法の基本知識

M&Aと税金対策③ 役員退職

M&Aと税金対策③ 役員退職

事業譲渡を活用してM&Aを実行した際に役員などにこの報酬を分配する場合、役員退職金を組み合わせることで税負担を軽くできる可能性があります。これは、現在の会社から退職することが前提となりますが、退職金は一時金として受け取ることになるため、給与や賞与よりも税額が優遇されているのです。税額を決定する計算を見てみても、退職金の額から退職所得控除を差し引き、その金額の半分が退職金に対する課税対象となります。加えて、企業側からすると、退職金という形で損金算入できるため、こちらでも節税対策となる場合があるのです。

役員退職金と税金額

役員が退職金をもらった場合の、役員が払う税金額についてみていきましょう。

まず、大事なことは税務署に「退職所得の需給に関する申告書」を提出することです。

この提出がない場合は、一時所得と一緒の所得税がかかります。

つまり、現在であれば20.42%となりますね。

この計算は簡単なので割愛し、申告書を提出した場合についてみていきましょう。

ここでは、役員の退職金であり、基本的には労働契約や株主総会で決定した金額を渡すことが出来るため退職金自体は自由に設定できます

今回は退職金額が5,000万円であることを前提に計算していきましょう。

次に必要な数字は勤続年数ですが、ここでは25年としておきます。

  • 退職所得控除額 800万円+70万円×(勤続年数25年-20年)=800万円+70万円×5年=1,150万円
  • 課税退職所得金額 (5,000万円-1,150万円)×1/2=1,925万円
  • 税額 (1,925万円×40%-2,796,000円)×102.1%≒500万円

こうしてみると、5,000万円の退職金に対して500万円の税金ということはだいたい10%程度でいいということになります。

申告書を提出することで、税率が10%も下がると考えていいのではないでしょうか。

役員退職金と損金額

最初に役員退職金の税金についてみてきましたが、今度は法人の損金算入に対する決まりごとについてみていきましょう。

基本的に、損金算入について考える必要がなければ、退職金の金額はいくらでも構いません。

ただし、損金算入したほうが節税対策という視点からすると重要です。

基本的に損金算入できる金額というのは、同業他社や同じぐらいの規模の会社と比べて高くなりすぎないことと決められています。

非常にあいまいだと感じられる方も多いのではないでしょうか。

そこで、他社との比較として最も使われている「功績倍率法」というものをご紹介しましょう。

役員退職金額=最終報酬月額×役員としての在任年数×功績倍率

この計算式をしっかり覚えましょう。そのうえで、功績倍率にはよく使われている数字というものがあります。

社長(3.0)専務(2.5)常務(2.5)といった具合です。

この数字を利用して、最終報酬月額200万円、在任年数10年、の専務に損金算入できる役員退職金を支払ったとします。

役員退職金額=200万円×10×2.5=5,000万円

いかがでしょうか。

功績倍率は自由に決定することもできますが、先ほど紹介した数値を目安に労働条件を結ぶなどしておけば、税務署などの監査リスクは極めて低いといえるでしょう。

役員退職金を受け取る時期について

役員退職金を支払う上で大事なことは手続きと支払う時期です。

手続きは税務署の監査リスクを下げることが出来ますし、支払う時期によって損金算入するのが今期なのか来期なのか違ってくるでしょう。

まず、手続きですが、株主総会の決議として議事録を残しておくことが必要になってきます。

これは、会社法にも定められていることです。

この議事録がないと、会社法上違法な支出としてみなされる場合もあります。

そのうえで、退職慰労金規定を労働条件に盛り込んでおく必要があります。

そうすることで、金額の計算基準が明確になるため、仮に税務調査が入った場合でも証拠として提出することが出来るでしょう。

また、退職金を受け取る時期です。

これは、損金算入だけを考えれば今期なのか来期なのかという議論が出てきます。

ただ、M&Aを行った後の株主総会でこれを議論した場合、M&A自体が思ったよりうまくいかなかったなどの理由で退職金を渡せない場合もあるでしょう。

このようなことのないように、時期とともに渡すことをしっかりと株主総会の議事録などで明文化してしまう必要があります。

ある程度のお金が個人に対して動く退職金については、税務署もかなり几帳面となっているので、細心の注意が必要になってきます。

役員退職と税金

税金のやり取りは金額が大きくなればなるほど節税効果が高い反面、様々な手続きを正確に踏んでいく必要が出てきます。

今回紹介した節税に関する考え方はM&Aだけでなく、一般的な役員退職にも当てはまる重要な話です。

ぜひ、頭に入れて、多くの人が満足できる方法をとっていきましょう。

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