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業種別にM&Aの事例を確認!

事例集 出版業

事例集 出版業

続いては出版業界におけるM&A事例です。インターネットによる情報の拡散は、今までの出版業界に大きな衝撃を与え続けています。版元・小売り問わず、かなり苦しいと考えている人は多いのではないでしょうか。

出版業の動向や特徴

出版の対象ともいえる新聞でも売り上げが厳しいのが出版業界。

朝日新聞などは現在の売上構造は出版における売上よりも不動産業による売り上げのほうが大きくなっています。

このような出版業界の収益構造が確立したのは昭和40年代の広告収入といえるでしょう。

その当時は、雑誌などを中心に人々が情報を得るのは書籍関連からが一般的だったのです。

時は変わって21世紀にはいると、インターネット・携帯電話の普及により人々の情報収集の方法は多様化してきました。

こうした生活の変化に出版業界はうまく対応していく必要があります。

また、書籍を買う場所も変化してきています。

雑誌などはコンビニで、専門書などは大型書店か通信販売でという人が多いのではないでしょうか。

町の小さな書店などは相当苦しい状況といえます。

そんな出版業では、今までの実績や歴史のある企業が、インターネットを専門としている出版社にM&Aされるといった動きが目立ってきました。

まさに業界再編成といえるこの動きは、注目する必要があります。

出版業におけるM&A事例:背景

今回の事例は、専門誌を出版している会社がIT・デジタルを得意とする会社にM&Aされたという事例です。

この出版社は専門誌業界における高いブランドを維持しており、その編集能力などは業界内でも一目置かれる存在でした。

今まではそうしたブランド力・技術力を背景に経営を行ってきましたが、インターネット広告やデジタル出版などの流れに対抗することは難しく、経営判断が必要でした。

また、内部構造としても、この出版社の経営者は、経営者としてだけではなく作家・編集者という現場仕事も愛しており、こうした心の動きに左右されてか経営リソースの選択と集中がうまくいっていません

経営者判断としては会社を存続させたい、しかし自分の現場仕事を手放したくない。

そうした思いから、外部から経営のスペシャリストを招聘すべくM&Aはできないかと考えたのです。

出版業におけるM&A事例:進め方やポイント

進め方のポイントは、現在のインターネットやデジタルにおける出版に強い会社ということでした。

ブランド力や販路といった部分は魅力的ですが、現在の出版業界の動きについていけないような老舗の出版社とのM&Aでは意味がありません。

そこで手を挙げたのはまさに理想的な会社でした。

デジタル広告やIT出版に強く、SEOと呼ばれるような検索に対する意識も高く、まさに売り手側にない技術を持っている出版社でした。

一方、売り手側の編集技術や出版社としての信頼性も高いといった特徴も、容易にシナジーが期待できる環境が整っていました。

買い手側としてもM&Aのメリットは明らか。

しかも、この買い手側は、この案件の前にもM&Aを行っていた経験のある会社。

売り手側の経営者も安心して任せることが出来ました

出版業におけるM&A事例:効果

IT関連の出版業はまだ技術が十分育っていないといわれています。

そういう視点からもこのM&Aは完璧ともいえるシナジーを発揮したといえるでしょう。

また、買い手側企業からは経営判断のできる人材を招聘、売り手側の経営者は社長業を引退し編集者として籍を残すことになりました。

これも、お互いの交渉がうまくいったといえます。

仮にM&Aがうまくいったとしても感情的なしこりのようなものが残ってしまっている場合、なかなか会社に残るという選択はできないものです。

また、会社に残るにあたり、金融機関からの個人保証分についてはすべて買い手側企業が引き継いだといいます。

中小企業特有の問題としての個人保証。

この部分が解消されるとその後の人生はストレスなく進んでいくといえるでしょう。

このM&Aはまさにお互いに大きなメリットのあった取引となったのです。

まとめ

今回のM&Aは、業界再編が叫ばれる出版業界でもかなり友好的な事例といえるでしょう。

この成功をもたらした大きな理由は、売り手側企業が最初にしっかりと要望を相手に伝えていたことです。

問題だけでなく改善策もしっかりと売り手側企業の経営者は把握していたといえるでしょう。

そのため、買い手側企業もあまり迷うことなく経営判断が出来ました。

経営判断のためには情報も必要ですが、それ以上にお互いのメリットデメリットや、引けないラインをしっかりと把握しあうことが交渉をスムーズに進めるポイントになることは間違いありません。

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